時は平成１６年６月１１日、曇天の空の下、ウインドサーフィン新海浜公園チーム、別名　「平成新撰組」　副長　にっきは腕を組んで考えていた。

　ここは、規律を正し、華々しい成果を上げて、我らを預かる琵琶湖国　彦根藩に、「平成新撰組」の存在意義を認めさせよう。

　そう決意した副長　にっきは、明日　土曜日に、琵琶湖岸　新海浜に集合するよう伝令を走らせた。

ウインドの鬼と呼ばれる副長の号令に、６月１２日　土曜日の当日、集まったのは、

　一番隊組長　ともとも丸
　二番隊組長　浪速のH嬢
　三番隊組長　Ｉ村
　　　　　 助勤　ひやみず
　　　　　 監察方　Ｔ島
　　　　　 監察方　かめ嬢
　　　　　 ヒラ隊士　リバＱ

の総勢８名。

　当日のコンディションは、フリースタイルボード９５リッターに、セイルサイズ５．７といったところである。

　この日、やや遅れて午後１時半に合流した、ヒラ隊士のリバＱは、二番隊組長　浪速のH嬢に、

　「リバＱさん、遅いですね。何してはったんですか。」　

と、詰問を受けた。

　「朝、ストレッチを行い、万全のコンディションを整えてから、参上したのです。」
釈明をするリバＱに対して、

　「うむ。」
と、副長　にっきが一言うなる。

　浪人(なみびと)の集まりであるこの平成新撰組には、規律を守るために、「局中法度」という厳しい隊規があった。

　これに違反すれば、即切腹。

　このうち、最も恐ろしいのが、「士道に背きまじきこと」という法度で、局長か副長の一存により、何をもって士道に背いたかが決まってしまう。

　遅れたことが、敵に怖気づいたということになったら、一巻の終わりである。

　その時、一番隊長　ともとも丸が口を開いた。

　「準備万端でやって来たというのなら、よいではありませんか。どうしても切腹というのなら、その腹を、私が貸しましょう。かわりに切ってください。」

　そう言って、自らのお腹を差し出すともとも丸のやさしさに、リバＱの瞳に涙があふれた。

　かくしてリバＱは許され、さて、出陣。

　敵は、湖岸よりが勢力が弱くかなりアンダー、風上に切り上がって行くと、順調に走り始める。

　大激戦の開始だ。　

　副長　にっきは、また、考え始める。

　今日、土曜日は、敵方が、そこそこ吹いた程度であったから、そこそこの満足だった。

　しかし、俺には血が足りない。やはり奈良の狼には、血の嵐がよく似合う。

　副長　にっきは、所用があるため、今日１日だけで新海浜を去ることを無念と思った。

　そして、血しぶき舞う中、愛セイル　シマー６．２を携えて、死闘の中へ突入していくのだった。

　

　
　明けて、６月１３日　日曜日。

　この日もやや遅れて午後１時半に駆けつけたリバＱは、大激闘の最中に突入することになった。

　すでに、

　　局長　かみかみ
　　一番隊組長　ともとも丸
　　三番隊組長　Ｉ村
　　四番隊組長　らっく嬢
　　五番隊組長　ファーストドッグ
　　　　　監察方　クギ
　　　　　監察方　かめ嬢
　　　　　監察方　Ｔ島

の総勢８名が、ウインドサーフィンのボードにまたがって、湖上を走りまくっている。

　敵方は、早朝から荒れ狂っており、ウエイブボード８５リッターにセイルサイズ５．０、波はマックス腰下で、久しぶりの極上ハードコンディションだった。

　浜で休憩し、これから出艇する四番隊組長　らっく嬢が、リバＱを見咎める。

「遅いですね。なにしてはったんですか？」

　局長　かみかみがそれを聞いて、リバＱを前に立たせ、

　「理由を説明しなさい。」

と申し渡した。



　「はい、実は、」
とリバＱが説明し始める。

　私は、日頃の鍛錬のため、彦根市中にある体力増進道場　通称　フィットネスジムなるものに通っております。

　本日も、出撃前に道場へ行き、その後、隣接の巨大商店街へとまいりました。

　すると、道場の指導員の一人　可憐なみなみひこね小町が、道場の宣伝文を配っているではありませんか。

　訳を問いただすと、商店街広場にて、道場の練習生募集のイベントを行っているとのこと。

　そう言って、証拠の電影写し絵を差し出すリバＱ。

　この時、休憩のために帰ってきた他の隊士が、これを見て、

　「おなごの踊りにうつつを抜かすとは、局中法度　士道に背きまじきこと　への明らかな違反です。」と、申し立てた。



　これに対して、局長　かみかみはこう言った。

　「良いものを見せてもらいました。今度ある時は、私も呼んでください。」

　かくして、リバＱも、やっと５．０をセット。

　出艇すると、快調に走り、風上にも切り上がる。

　軽くジャンプ。

　時間を忘れ、敵と切り結ぶリバＱ。

　昨日今日と、２日間吹いて、久しぶりによい週末だった。

　来週も、再来週も、どんと来い。

　ウインドサーフィン平成新撰組　ヒラ隊士　リバＱがお相手つかまつる！！！

　切腹させられそうになったことも、すっかり忘れ、今週末も、ひとり騒がしいリバＱだった。



　ではでは、また、週末に。(＾＾)

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